はじめに:40代転職のリアルと“気づき”の物語
ボクの40代転職のリアルを綴る「転職記」シリーズは、ここまでこんな流れで進んできました。
- 転職を決断した話
- 転職に向けて動き始めた話
そして今回は、 転職活動の最中に訪れた “大きな気づき” の話 です。
ボク自身が「給料をもらって安定を求める人生」から、 「給料を稼ぐために技術を育てる人生」へと視点を変えていった、 そんな転機の物語です。
40代の停滞感と、心が動かない求人票
40代で転職サイトを眺めても、どれもピンと来ない。 「給料は欲しい。でも、心が動かない」 そんな停滞感の中にいる人は、ボクだけではないはずだ。
転職活動を始めて1週間。 友人に相談し、元仲間に連絡し、求人サイトを漁り、街の張り紙まで見て回った。 なりふり構わず動いた結果、いくつかの候補が集まった。
- 元フレンチ時代の先輩からの誘い:ワイン営業職
- 知人が経営する飲食店:現場スタッフ
- 求人サイトの提案:未経験OKの焼肉・しゃぶしゃぶ店
選択肢はある。 でも、どうしても心が躍らなかった。
それは、かつての飲食業界の理不尽さと、 トラックドライバー時代に知った“一人の自由”の心地よさを知ってしまったからだ。
飲食の地獄と、トラックの自由
かつての飲食業界は、殴る・蹴る・怒鳴るが当たり前の世界だった。 14〜16時間労働、客が帰るまで帰れない不自由さ。 「修行」という名の消耗戦を経験しているからこそ、戻るのが怖かった。
一方で、トラックドライバー時代に知った“一人の自由”はあまりに心地よかった。 運転している時間が長く、誰にも怒鳴られず、理不尽な上下関係もない。
40代になり、アドラー心理学をかじって 「怒っているのは、その人の課題でしょ?」 と割り切れる知恵もついた。
今のボクは、不機嫌な誰かのために自分の人生を差し出すつもりはない。 何より、家が好きで、妻との時間を守りたかった。
精肉店の誘いと、“給料だけ見ていた自分”への気づき
そんな時、精肉店で働く友人から連絡が来た。
「会長がウチに来ないかって言ってるよ!」
技術職への憧れもあり、「肉が捌けるようになる」というのは魅力的だった。 しかし提示された給料は、ドライバー時代より年収が100万円近く下がる。
年収100万円ダウンの現実は、じわじわと胸にのしかかる。 40代の転職。家族の生活。将来の不安。 その全部を抱えながら、求人サイトを見つめていた。
求人サイトをスクロールする指が、ふと止まった。
「あれ?ボク、仕事じゃなくて“給料”だけ見てなかったか?」
その瞬間、胸の奥がズキッとした。
ボクは仕事を探しているのではなく、 ただ 「給料をもらい続ける場所」 を探していただけだったのだ。
このまま“給料をもらうだけ”の働き方を続けて、 60歳になったとき、ボクは何を残せるんだろう。
ここが、今回の 第1の気づき だった。
たい焼き屋との出会いが、未来を広げた
転職活動を続けながら、まだトラックドライバーとして働いていたある日。 いつもの大好きなたい焼き屋に寄って休憩していた。
たい焼きを頬張った瞬間、ふと頭に浮かんだ。
「たい焼き屋で働けるんじゃないか?」 「たい焼きなら、将来自分で店を持てるかもしれない」
その考えが妙にリアルで、胸が少し熱くなった。
勢いのまま、未経験OKのたい焼き屋を探してみたら3店舗見つかり、すべて面接が決まった。
ここで初めて、たい焼きという仕事の“可能性”に気づいた。
- 店舗を構える
- キッチンカーで移動販売
- フランチャイズ展開
- あんこを極めれば和菓子にも展開
- 老若男女に愛され、競争が激しくないジャンル
「これ、もしかしたらチャンスなんじゃないか?」 ボクはたい焼きで“稼ぐ未来”まで想像してしまった。
ロマンか、技術か。ボクの心は大きく揺れた
たい焼き屋はロマンがある。 精肉屋は技術がある。
- たい焼き屋:独立の夢、ワクワク、街を明るくするロマン
- 精肉屋:技術、一生モノ、どこでも働ける安定
「たい焼き屋いいじゃん!」 「いや、精肉屋の技術も強いぞ…!」
頭の中で、何度も何度もこの二つがぶつかり合った。
今のボクには資産がない。 だからこそ、これから何を積み上げるか が人生を左右する。
それでも、心のどこかでは ロマンのあるたい焼き屋に挑戦したい気持ちが勝っていた。
妻に相談して、現実の壁にぶつかった
たい焼き屋の未来にワクワクしながら、妻に話してみた。
「たい焼き屋で働いてみようと思うんだ」 「将来、キッチンカーで全国を回らないか?」
ボクの中では、たい焼き屋の未来がキラキラしていた。 でも、返ってきたのは想像していなかった言葉だった。
「たい焼き屋1本って…不安定すぎでしょ?」 「40代で未経験で、給料も安いんでしょ?」 「たい焼き屋がダメだったらどうするの?」
胸がズキッとした。
妻は反対したいわけじゃない。 ただ、現実を見てほしいだけだ。
ロマンの裏側にあった、現実の壁
さらに現実が押し寄せた。
3店舗受けたうち、受かったのは1店舗だけ。 しかもその店は “養殖” だった。
ボクが惹かれていたのは、 鋳物の型で1匹ずつ焼く 一丁焼き の世界。
「あれ…?ボクがやりたいのはこれじゃない」
45歳、未経験。 この壁を越えて人に選ばれるのは簡単じゃなかった。
たい焼き屋のロマンが、少しずつしぼんでいった。
キッチンカーのセミナーで、“第三の道”が現れた
たい焼き屋の現実に迷いが深まった頃、 予約していたキッチンカーのセミナーに参加した。
そこで聞かされたのは、キッチンカーの“稼ぎ方”の現実だった。
- 出店枠は限られている
- スイーツ枠が埋まっているとたい焼き屋は出られない
- 複数業態を持つキッチンカーが強い
「キッチンカーでも、たい焼き屋より精肉屋の方が振り幅あるのか…」
その後の個別相談で、ボクの人生を動かす言葉をもらった。
「ソムリエ資格あるんですよね? それ、めちゃくちゃ強みですよ」 「“ソムリエ×肉”の方が圧倒的に説得力ありますよ」 「ソムリエが焼くチャーシュー丼なんて他にないですよ」
衝撃だった。
また“楽な方”へ逃げようとしているのか?
たい焼きが好きなのは本当だ。 でも、それは本当に“好き”なのか? それとも、ただの逃げなのか?
- 精肉屋の技術は一生モノ
- ソムリエ×肉のペアリングは説得力がある
- キッチンカーにも応用できる
- 自分で稼ぐ未来につながる
考えれば考えるほど、 精肉屋で技術を身につけることが、ボクの未来を一番広げる と気づいた。
たい焼きはロマン。 でも、精肉は“武器”になる。
ここが、今回の 第2の気づき だった。
給料を探す人生から、稼ぐ力を育てる人生へ
たい焼き屋のロマンも、 キッチンカーの未来も、 ソムリエ×肉の可能性も、 全部ひっくるめて考えた結果。
ボクは、精肉屋で技術を身につける道を選んだ。
給料が安くても生活はできる。 そして、この決断が未来につながる“投資”になると信じた。
給料をもらう人生から、 稼ぐ力を育てる人生へ。
45歳。 ここが、ボクの再スタート地点だ。


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