40代で転職を考え始めると、まず気になるのはやっぱり給料です。
家族の生活もあるし、将来の不安もある。できれば失敗したくない。そう思うのは、きっと当たり前です。
40代の転職は、年収が下がる恐怖との戦いでもあります。ボクも実際に、年収100万円ダウンの選択肢を前に、何日も悩みました。「45歳・未経験で本当に転職していいのか」——その不安も、ずっと抱えていました。
でも、転職活動を進める中で、ボクはあることに気づきました。
それは、「仕事を探しているつもりで、実は“給料をもらえる場所”だけを探していた」ということです。
今回の記事は、そんなボクが「給料をもらう人生」から「稼ぐ力を育てる人生」へ、少しずつ考え方を変えていった話です。
もし今、40代で転職に迷っているなら。この話が、ほんの少しでもあなたの背中を押せたらうれしいです。
はじめに|40代の転職活動で訪れた、大きな気づき
ボクの「転職記」シリーズは、ここまで
という流れで進んできました。
そして今回は、転職活動の最中に訪れた“大きな気づき”について書いていきます。
この気づきは、ただ次の仕事を選ぶ話ではありません。ボクにとっては、これからの人生をどう生きるかを考え直す、ひとつの転機でした。
40代の転職活動は、選べるのに心が動かない
転職活動を始めて1週間ほど。ボクは思いつく限り、いろいろ動きました。
- 友人に相談する
- 昔の仲間に連絡する
- 求人サイトを見まくる
- 街の張り紙までチェックする
なりふり構わず動いたおかげで、いくつかの候補は見えてきました。
- 元フレンチ時代の先輩からの誘い:ワイン営業職
- 知人が経営する飲食店:現場スタッフ
- 求人サイトで見つけた:未経験OKの焼肉・しゃぶしゃぶ店
選択肢は、ゼロではありませんでした。でも不思議なくらい、どれも心が動かなかったんです。
「給料は必要」「でも、なんだかワクワクしない」
40代で転職サイトを見ていると、こういう感覚になる人は意外と多いんじゃないかなと思います。
なぜ候補があっても、心が動かなかったのか
心が動かなかった理由は、はっきりしていました。かつての飲食業界は長時間労働と理不尽な上下関係が当たり前で、消耗する毎日でもあった。簡単には戻れない。
一方、トラックドライバー時代に知った「一人で働ける自由」は想像以上に心地よかった。40代になってからは、「怒っているのはその人の課題」と思えるくらいには、考え方も変わってきました。
だからこそ今は、誰かの不機嫌のために、自分の人生を差し出したくない。妻との時間も大事にしたい——その気持ちは、昔よりずっと大きくなっていました。
この頃のボクは、次の3択で本気で悩んでいました。
- たい焼き屋——ロマンと独立の夢
- 精肉店——技術と手に職
- ドライバー継続——安定と給料
結局どう決めたのか。ここからが、この記事の本題です。
精肉店の誘いで見えた「給料ばかり見ていた自分」
そんなとき、精肉店で働く友人から連絡がきました。
「会長が、ウチに来ないかって言ってるよ」
その言葉に、ボクの心は少し動きました。肉を扱う仕事には、前からどこか憧れがあったんです。“技術職っぽさ”があるのも魅力でした。
肉が捌けるようになる。手に職がつく。それは間違いなく、大きな価値だと思いました。
でも、現実は甘くありません。提示された給料は、ドライバー時代より年収で100万円近く下がる内容でした。
40代の転職で、年収100万円ダウン。家族の生活。将来への不安。考えないわけがありません。
求人サイトを見ながら、何度も条件を比べていたそのとき。ボクの中で、ふとこんな言葉が浮かびました。
「あれ? ボク、仕事じゃなくて“給料”だけを見てないか?」
その瞬間、胸の奥がズキッとしました。
ボクは仕事を探しているつもりでした。でも本当は、“給料をもらい続けられる場所”を探していただけだったのかもしれません。
このまま、ただ給料をもらうことだけを基準に働いて、60歳になったとき、ボクの手元には何が残るんだろう。ここが、今回の第1の気づきでした。
たい焼き屋との出会いが、ボクの未来を広げた
転職活動を続けながら、まだトラックドライバーとして働いていたある日。休憩中に、いつもの大好きなたい焼き屋に立ち寄りました。
たい焼きを食べた瞬間、ふと思ったんです。
「たい焼き屋で働けるんじゃないか?」
「たい焼きなら、いつか自分の店を持てるかもしれない」
その考えは、自分でも驚くほど自然に浮かびました。
すぐに未経験OKのたい焼き屋を探してみたら、3店舗見つかって、全部面接を受けることに。そのとき初めて、ボクはたい焼きという仕事の可能性を真剣に考えました。
たとえば、こんな未来です。
- 小さなお店を持つ
- キッチンカーで移動販売する
- フランチャイズ展開を目指す
- あんこを極めて和菓子にも広げる
- 老若男女に愛される商売をつくる
そしてボクの中では、さらに夢が広がっていきました。いつかキッチンカーで全国の競馬場を回れたら、めちゃくちゃ楽しそうだなって。
「これ、もしかしたらただの転職じゃなくて、未来につながるかもしれない」——そう思えたのは、久しぶりでした。
たい焼きのロマンか、精肉の技術か。本気で揺れた
でも、ここからボクはかなり悩みました。
たい焼き屋にはロマンがある。一方で、精肉屋には技術がある。整理すると、こんな感じです。
- たい焼き屋:独立の夢がある、ワクワクする、商売の広がりが見える
- 精肉屋:技術が身につく、一生モノになる、応用が利く
「たい焼き屋、いいじゃん」「いや、精肉の技術は強いぞ…」——頭の中では何度もこの2つがぶつかりました。
今のボクには、大きな資産があるわけじゃありません。だからこそ、これから何を積み上げるかがすごく大事でした。それでもこの時点では、心は少したい焼き屋に傾いていました。ロマンがある仕事って、やっぱり魅力的なんですよね。
妻に話して見えた、夢だけでは越えられない現実
たい焼き屋の未来にワクワクしながら、ボクは妻に話しました。
「たい焼き屋で働いてみようと思うんだ」
「将来、キッチンカーで全国を回るのもいいなって思ってる」
ボクの中では、かなり前向きな話でした。でも返ってきたのは、すごく現実的な言葉でした。
- 「たい焼き屋1本って不安定じゃない?」
- 「40代で未経験だし、給料も安いんでしょ?」
- 「もしダメだったら、その先どうするの?」
正直、胸が痛かったです。でも、妻は夢を否定したかったわけじゃないんですよね。ただ、家族として現実を見ていた。それだけなんです。
40代の転職って、自分ひとりの話では終わりません。家族がいるなら、なおさらです。
受かったのは1店舗だけ。しかも理想とは違った
さらに現実は続きます。
3店舗受けたたい焼き屋のうち、受かったのは1店舗だけ。しかもその店は、ボクが強く惹かれていた一丁焼きではなく、いわゆる養殖のスタイルでした。
もちろん、養殖が悪いわけではありません。でもボクが心を動かされていたのは、鋳物の型で一匹ずつ焼く、あの世界だったんです。
「あれ…? ボクがやりたいのはこれじゃないかもしれない」
そう思った瞬間、たい焼き屋のロマンは少しずつしぼんでいきました。
45歳、未経験。その壁を越えて、理想の形でスタートするのは簡単じゃない。現実は、ちゃんと現実でした。
キッチンカーのセミナーで見えた「第三の道」
迷いが深くなっていた頃、予約していたキッチンカーのセミナーに参加しました。
そこで聞いたのは、キッチンカー業界のリアルでした。
- 出店枠には限りがある
- スイーツ枠が埋まっていると、たい焼きでは出しづらい
- 複数業態を持っているキッチンカーの方が強い
その話を聞いて、ボクは思いました。「キッチンカーをやるとしても、たい焼き一本より、もっと振り幅のある武器が必要かもしれない」
そして、その後の個別相談で、ボクの中の景色が一気に変わりました。
「ソムリエ資格があるんですよね? それ、かなり強みですよ」
「“ソムリエ×肉”って、すごく説得力がありますよ」
「ソムリエが焼くチャーシュー丼なんて、かなり面白いですよ」
この言葉は、本当に衝撃でした。ボクの中では、過去の経験と、これから身につける技術が、ちゃんとつながる未来が初めて見えた気がしたんです。
たい焼きは好き。でも、それは夢か逃げか
たい焼きが好きなのは本当です。その気持ちにウソはありません。
でも同時に、こうも思いました。
「ボクは、本当にたい焼き屋をやりたいのか?」
「それとも、精肉のほうが大変そうだから、ロマンのあるほうに逃げようとしてるだけなのか?」
この問いは、自分でもかなり刺さりました。改めて整理すると、精肉にはこんな強さがありました。
- 技術が一生モノになる
- ソムリエとの掛け合わせができる
- キッチンカーにも応用しやすい
- 将来、自分で稼ぐ力につながる
考えれば考えるほど、ボクの未来を一番広げるのは、精肉の技術を身につけることだと思えてきたんです。
たい焼きはロマン。でも、精肉は武器になる。ここが、今回の第2の気づきでした。
45歳の再スタート。ボクは「給料」より「稼ぐ力」を選んだ
たい焼き屋の夢。キッチンカーで全国の競馬場を回る未来。ソムリエとしての経験。精肉の技術。
全部ひっくるめて考えた結果、ボクは精肉屋で技術を身につける道を選びました。
もちろん、給料が下がる不安はあります。40代での転職に不安がないなんて、そんなことはありません。
でも、生活できる範囲であれば、今は目先の条件だけじゃなく、未来に残るものを選びたいと思ったんです。
給料をもらうだけの働き方ではなく、自分で稼ぐ力を育てていく働き方へ。45歳。ここが、ボクの再スタート地点です。
まとめ
40代の転職は、若い頃みたいに勢いだけでは進めません。給料、家族、将来、体力、不安。いろんなものが現実としてのしかかってきます。
だからこそ、ボクは今回の転職活動で、すごく大きなことを学びました。
- 給料だけで仕事を選ぶと、心が置いていかれることがある
- 今の自分に必要なのは、目先の条件より“積み上がる技術”かもしれない
- 好きなことと、未来につながることは、分けて考える必要がある
もし今、転職に悩んでいるなら、少しだけ自分に問いかけてみてほしいです。
今の自分は、「給料を探している」のか。それとも、「稼ぐ力を育てようとしている」のか。
その答えが見えてくると、次の一歩は少し変わるかもしれません。
ボクもまだ道の途中です。でもいつか、キッチンカーで全国の競馬場を回る夢に近づけるように、今は目の前の技術をコツコツ積み上げていこうと思います。
同じように40代で悩みながら進んでいる誰かの背中を、このブログがそっと押せたらうれしいです。
▶ 転職記シリーズ


▶ 夢・これから


▶ 精肉店で働いてみた(現在進行形)



コメント