「なんか手がベトつく…」精肉店で知った、輸入豚と国産豚の違い

精肉店で輸入豚のドリップやベトつきの違いを確認しながら作業する様子をイメージしたアイキャッチ画像 精肉修行


📌 この記事でわかること
  • 輸入豚がベトつく理由——冷凍・解凍で何が起きているか
  • 国産チルドと輸入冷凍、手触りが違う科学的な理由
  • 「輸入豚は質が悪い」は本当か?現場で学んだこと
  • 45歳・未経験が手で覚えていく、精肉修行のリアル

少しずつ任されてきた——でも、なんか変だった

精肉店に入って、2ヶ月が経ちました。
毎日肉を触っているんですけど、まだ全然一人前じゃないんですよね。

「これは挽肉用」「こっちはコマ用」
そうやって教えてもらいながら、繊維に対してどう切るかを少しずつ覚えているところだったりして。

そんな中で、最近は
「肩ロース、スライスしておいて」
と言われることも出てきたんですよね。

スライサー、最初は全然できなかった話

少しずつ任されることが増えてきて、うれしいんですよね。でもそのぶん、分からないことも増えてきたりして。

この記事を書いた人(2026年5月時点)
  • 元ワインソムリエ(10年)→ トラックドライバー(8年)→ 精肉店(修行中・2ヶ月)
  • 人身事故を機に転職。未経験・45歳からの精肉の世界
  • 夢は60歳で妻とキッチンカーで競馬場を巡ること

やけに手がベトつく。これ、普通ですか?

その日も、いつも通り肩ロースを触っていたんですよね。
ただ、なんか違うなって。

やけに手がベトつくんですよね。

脂っぽい感じとも違って。水っぽいような、でも手にまとわりつくような、なんとも言えない感触だったりして。
スライスして、経木で包んで仕上げるときも、なんか経木が汚れるんですよね。表面もちょっとぬめる感じがして。

「こんなもんなのかな」って思ったんですよね。

ボクはまだ経験が浅いから、自分の違和感に自信が持てなかったりして。
でも、やっぱり変なんですよね。触っていて、どうにも引っかかるというか。

それで聞いてみたんです。

「今日の肉、なんかベトつくんですけど、これ普通ですか?」

「カナダ産だからだよ」——そこから全部つながった

返ってきたのが、

「今日のはカナダ産だからだよ」

え、そうなんですか、って。
その時点で、ボクはまだそこもよく分かっていなかったんですよね。

「いつもは国産なんですか?」と聞いたら、
「いや、このお客さんの場合はいつも輸入。今日はカナダ産なんだよ」って。

そう言われて、冷蔵庫にある箱を見せてもらったんです。
箱の底に、氷みたいな霜がついていたんですよね。

そのとき、やっと分かったというか。

あ、これ、冷凍されてた肉なんだ、って。

輸入豚って、なんとなく「海外から来るんだから冷凍なんだろうな」くらいのイメージはあったんですよね。
でも、実際に自分の手で触って、違和感として感じて、それから理由を知ると、急に腑に落ちた感じがして。

冷凍・解凍でドリップが出る仕組み

調べてみると、輸入豚の多くは海外で処理・冷凍されて日本に運ばれ、解凍して使う流れになるらしいんですよね。
(輸入豚がすべて冷凍というわけではなくて、チルドで流通するものもあるんですが、長距離輸送では冷凍が多いみたいで。)

この”冷凍”が大きいんですよね。

流通 保存方法(傾向) ドリップ 手触り
国産 チルド(冷蔵)が多い 少ない さらっとしている
輸入 冷凍→解凍が多い 多い ベトつきやすい

肉を冷凍すると、細胞内の水分が氷結晶になるんですよね。このとき、氷結晶が周囲の組織を物理的に傷つけてしまって。
解凍されると、その傷ついた組織からドリップ(肉汁)が出やすくなるらしいんです。
ドリップの中には水分だけじゃなくて、タンパク質や旨味成分も含まれていて、脂も少し溶けて混ざるみたいで。

それが合わさって、あの独特の「ベトつく感じ」になるんですよね。

ボクが感じた「なんか違う」は、ちゃんと理由のある違和感だったんですよね。
ただ気持ち悪いと思っただけじゃなかったというか。自分の手が、ちゃんと違いを拾っていたんだなって思えて。

現場で学んだ:半解凍の肉はどうなる?
  • 中は少し硬いのに、表面だけやわらかい状態
  • この状態がいちばんドリップが出やすくて、余計にベトつきやすいみたいで
  • 半解凍でスライスするのはNG——スライサーの刃を傷めてしまうんですよね
  • しっかり解凍してから切るのが基本らしいです

輸入豚は質が悪いから安いのか?

最初のボクは、「輸入豚が安いのは質が劣るからだろう」って思っていたんですよね。

でも、話を聞いたり調べたりすると、そう単純でもないみたいで。
安さは”質の低さ”だけでは説明できなくて。流通の仕組み、保存方法、生産規模、販売設計——そういった違いが積み重なって、価格差につながっている部分が大きいんですよね。

🇯🇵 国産チルドの強み
  • 冷凍による組織ダメージがない
  • ドリップが出にくい
  • 焼いたとき肉汁が残りやすい
  • 素材そのまま食べるのに向く
🌍 輸入冷凍の強み
  • 大量生産・低コスト
  • 長期保存・長距離輸送ができる
  • 部位ごとに世界中へ効率販売
  • 薄切り・味付け・加工用に向く

つまり、”安くできる仕組みがある”ということなんですよね。

国産には国産の良さがあって、輸入には輸入の強みがあるというか。
薄切り、味付け、加工用——向いている使い方が違うだけなんですよね。

頭じゃなく、身体で覚え始めている

ボクはまだ、肉を見ただけで「これは国産」「これは輸入」なんて分からないんですよね。

でも最近、少しだけ変わってきた気がして。

触ったときの違和感。ドリップの出方。匂い。脂の感じ。
そういうものを、頭じゃなくて身体で覚え始めている気がするんですよね。

前は、ただの「肉」だったんですよね。でも今は違うというか。ただ並んでいるだけに見えた肉にも、流通の違いがあって、状態の違いがあって、触った感触にまで理由があるんだなって。

45歳。今さらじゃなくて、今から。

45歳にもなって、今さら覚えることだらけで。若い頃みたいに、すぐ覚えられるわけでもないんですよね。
正直、焦ることもあるし、情けなくなることもあったりして。

でも、こういう小さな違和感を拾えて、それにちゃんと理由があると分かると、仕事が少し面白くなってくるんですよね。

まだ全然分からないことの方が多いんですけど。それでも、昨日より今日。今日より明日。
少しずつでも、自分の手で覚えていけたらいいなって思っています。

もし40代で転職を考えているなら、それだけ伝えたくて——未経験でも、毎日ちょっとずつ世界が広がっていくんですよね。それだけで、やってよかったって思えるから。

どこかの競馬場で、話せたら嬉しいです。

ハンドルを切れずに、肉を切る。
40代のやり直しを、リアルに書いています
ワインソムリエ→トラック→精肉。
失敗も悔しさも、そのまま記録しています。
キッチンカーで競馬場を巡る夢に向かって。

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ちょくえい / 45歳・精肉修行中
ワインソムリエ10年→トラックドライバー8年。人身事故を機に、未経験から精肉店で修行中。
夢は競馬好きの妻とキッチンカーで全国の競馬場を巡ること。
失敗も悔しさもそのまま書くブログ「ハンドルを切れずに、肉を切る。」運営中。

※本記事は個人の体験・感想をもとにした記録です。精肉の知識はまだ修行中のため、専門的な情報は信頼できる情報源もあわせてご確認ください。

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