- 「ウチハラミ」とは何か——ハラミの内側と外側の違い
- ハラミ・サガリ・ウチハラミ、3つの部位の構造と特徴
- ウチハラミの味・食感・食べ方(内腿との食べ比べあり)
- 牛1頭からわずか数kgしか取れない希少部位の話
ボクはずっと「ハラミはハラミ」だと思ってた
恥ずかしながら今まで、ボクにとってハラミは「焼肉屋で頼む柔らかい肉」でしかなかった。
スーパーの精肉コーナーでパックに入ったハラミを見ても、「まあ人気のやつでしょ」くらいの認識だったと思う。
ハラミに「内側」と「外側」があるなんて、一度も考えたことがなかった。
45歳で未経験のまま精肉店に入って、初めて聞いた言葉がある。
ウチハラミ。
45歳、知らない世界がまだこんなにあるんだな。
- 元ワインソムリエ(10年)→ トラックドライバー(8年)→ 精肉店(修行中)
- 人身事故を機に転職。未経験・45歳からの精肉の世界
- 夢は60歳で妻とキッチンカーで全国の競馬場を巡ること
そもそもハラミってどこの肉?
ハラミは、牛の横隔膜の筋肉にあたる部位だ。
見た目は赤身っぽく、焼肉では定番中の定番。でも分類上は「内臓肉(ホルモン)」になるらしい。
横隔膜は筋肉でも、内臓に付随するため食肉分類上はホルモンとして扱われるそうで、精肉店に入るまでそんなこと全然知らなかった。
ショーケースに出すトレーに並べながら、ふと思った。
この肉、火を入れたらどうなるんだろう。
まだ正直、触っただけじゃ何も分からなくて。柔らかいのか硬いのか、いい状態なのかどうなのか——比べるものがないから、判断できない。
ハラミとサガリ——同じ横隔膜でも別物だった
精肉店に入って最初に驚いたことのひとつが、横隔膜のなかにも名前が分かれていること。
焼肉屋のメニューでは「ハラミ」として一括りにされていることも多いけど、現場では全然別の扱いをされている。
| 名称 | 部位 | 特徴 |
|---|---|---|
| ハラミ | 横隔膜の背側(外側寄り) | 薄くて繊維感が強め |
| サガリ | 横隔膜の腰側(内側寄り) | 厚くて赤身感が強い |
| ウチハラミ | 横隔膜の内側・肋骨の裏側 | キメ細かく脂の影響を受けやすい |
同じ横隔膜でも、触ると厚みも弾力もまったく違う感じがする。
現場のざっくりした感覚で言うと(あくまで個人的な印象だけど)、ウチハラミはバラ寄り・濃厚、サガリはヒレ寄り・赤身、という感じかもしれない。
肉屋に入らなかったら、一生「全部ハラミでしょ」で終わっていたと思う。
ウチハラミは「ハラミの内側」という別世界
▲ 精肉店のショーケースに並ぶウチハラミ。100g1,080円——モモより300円高い値段が、希少さを物語っているように感じる。
ウチハラミを初めてトレーに並べたとき、なんとなく思った。
なんか、きめ細かいな。
サシなのか、繊維なのか、ボクにはまだ分からないけれど。
他の部位と並べて見比べてみると、ロースとも違う、モモとも違う。
何がどう違うのか、まだ言葉にはできないんだけど、
「あ、なんか違うな」というのは、ちゃんと感じた。
言葉より先に、手と目が覚えていく感じ。
ボクはまだその入口に立ったばかりだけど、それが少しだけ、面白いなと思えた。
- 牛1頭から数kgしか取れない希少部位
- 流通上は「内臓肉(ホルモン)」扱い
- 位置はバラ肉の奥・肋骨の内側・横隔膜の内側
- 脂の影響を受けやすく、旨味が濃い
- 焼肉屋では人気メニューとして並ぶことも多い
- ※「ウチハラミ」は通称で、店舗や地域によって呼び方が異なる場合あり
ホルモンとして分類されているのに、焼肉では人気部位として並ぶ。
このギャップが面白いなと思う。ワイン業界にいたとき、格付けと実際の人気が合わない銘柄を見ていた感覚と、なんとなく似ているかもしれない。
実際に食べてみた——繊維がほどける瞬間の話
▲ NHKマイル当日、東京競馬場に持っていった自作どんぶり。G1日和の青空の中で食べる贅沢な肉は、格別だった。
じゃあ食べてみようと思って、ウチハラミを焼いてみた。
噛んだ瞬間、繊維がほどける感じがした。
脂と肉汁が混ざった甘い旨味が一気に広がって、あ、これか——と思った。
モモ肉みたいな「噛むほど出てくる肉肉しさ」とはまったく違う。
歯切れがいいのに濃厚で、そのちょうどよさが、気づいたらもう一枚……をくり返させてくる感じがした。
焼き方のポイント(学んだこと)
横隔膜の肉は火を入れすぎると一気に硬くなりやすいらしい。
強火で短時間がベターで、中心がまだ少しピンクなくらいでもう止める——くらいの感覚がよさそうだと感じた。
ボクはまだ修行中なので、先輩に確認しながら覚えているところだ。
内腿と食べ比べたら、違いがハッキリした
せっかくなので、同じ日に内腿(うちもも)も焼いて食べ比べてみた。
- 甘みが強い
- 繊維がほどける食感
- 甘い内臓系の香り
- 脂と肉汁が一体の濃厚さ
- 「繊細でリッチ」な印象
- 甘みは控えめ
- しっかり噛みしめる食感
- 赤身の鉄分の香り
- 赤身の味がストレートに出る
- 「ワイルドで実直」な印象
▲ 内腿(うちもも)はこちら。鮮やかな赤身が特徴。100g780円——ウチハラミと300円の差が、希少度の違いをそのまま表しているようだった。
同じ牛なのに、口の中でまったく違う世界が広がった。
甘みとシャープさ、ほどけると噛みしめる——
赤身肉の奥行きって、こういうことなのかもしれない。
ワインで例えるなら、丸みのあるブルゴーニュと、タイトなボルドーを飲み比べる感覚に近いかもしれない。
ソムリエだったころ、グラスのなかで世界が違う——そう思うことが好きだった。
精肉でも、同じようなことが起きているんだなと思った。
45歳、まだ知らない肉ばかり
精肉店に入るまで、ハラミの「内側と外側」なんて一度も考えたことがなかった。
毎日肉を触っていると、「同じハラミでも全然違う」ことが少しずつ見えてくる気がする。
45歳で転職して、知らないことだらけで正直しんどい日もある。
先輩にどんどん追い越されるような感覚もある。
でも、こういう「知らなかった世界」に出会えることが——ちょっと楽しいなと思えるようになってきた。
ボクが精肉を学ぶのは、60歳になったとき、競馬好きの妻とキッチンカーで全国の競馬場を回るためだ。
肉のことを知れば知るほど、その夢が解像度を持ってくる気がする。
どこかの競馬場で、ウチハラミの串でも食べながら話せたら嬉しい。
失敗も悔しさも、そのまま記録しています。
キッチンカーで競馬場を巡る夢に向かって。
夢は競馬好きの妻とキッチンカーで全国の競馬場を巡ること。
失敗も悔しさもそのまま書くブログ「ハンドルを切れずに、肉を切る。」運営中。
※本記事は個人の体験・感想をもとにした記録です。精肉の知識はまだ修行中のため、専門的な情報は信頼できる情報源もあわせてご確認ください。


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