転職したい。でも、怖い。
40代のボクを動かしたのは、希望ではなく“闇”だった。係長として働いていた会社で起きたこと、そしてプロドライバーとして起こしてしまった事故——そのあと、45歳・未経験で精肉店へ向かった。
- 40代で転職を決めたボクの理由(一次体験)
- 係長時代に見た、常務の借金1000万円超と、ボクが感じた違和感
- 人身事故のあと、45歳未経験で精肉屋を選んだまで
40代、転職は恐怖が先に来る
40代になると、仕事も人生も「このままでいいのか?」という問いが急に重くなる。給料は上がらないのに責任だけ増え、家族のために働いているはずなのに、心はどんどんすり減っていく。
転職したい。でも、怖い。失敗したら取り返しがつかない気がする。ボクも、まさにそのひとりだった。
そんなボクの背中を押したのは、希望ではなく“闇”だった。
常務の借金1000万円
ボクが言う“闇”——その正体は、常務の借金だった。
係長として働いていた当時、常務が長年支えてきた社員や20代の若手まで、片っ端から金を借りていることが発覚した。その金額は1000万円を超えていた。
会社が下した処分は「降格」のみ。ボクには、到底理解できない判断だった。
「頭おかしいんじゃないか?」——そう思った。金を貸した社員もいた。ボクは、貸してと言われなかった。それでも、その事実をそのまま受け入れて回っていく空気に、ボクの中で何かが崩れた。
平均年齢も高く、守りに入った社風には、目標も熱量も、ボクには見えなかった。係長だったボクの役職手当はわずか3万円。責任だけが増え、心は摩耗していく。
「この会社に、ボクの未来はない」——そう感じた瞬間だった。
人身事故を起こした日
「フレンチブルドッグを飼いたい」「妻と競馬旅行に行きたい」——そんなささやかな願いすら、仕事への無気力に飲み込まれていった。
ボクは、目標を失っていた。心が空っぽになると、判断力まで奪われる——そう感じた。
ある日、ボクはプロドライバーとして、取り返しのつかない過ちを犯した。
納品先へ左折した瞬間、視界から消えていた自転車を巻き込んだ。歩道を走っていた82歳のご年配の方だった。人身事故をしてしまったのだ。
あの瞬間の音、空気、時間の止まり方。今でも忘れられない。
退職を決めた
もちろん、事故を会社のせいにするつもりはない。ハンドルを握っていたのは自分だ。最終的な責任は、自分にある。
だからこそ、ボクはこのままでいいのか——本気で考えるようになった。事故の重みと向き合い、退職を決意した。
40代で会社を辞めるのは怖い。でも、このまま続ける方がもっと怖かった。
退職を決めたあと、すぐに次の仕事が決まっていたわけではない。45歳。未経験。簡単に人生をやり直せる年齢ではない。それでも、次の仕事では「ただ生活のために働く」のではなく、自分の手に何かを残したかった。
45歳、ハンドルを包丁に
次に選んだ道は、物流とは無縁の「精肉屋」。
ハンドルを握る仕事から、包丁を握る仕事へ。肉もまた、生き物の命をいただく仕事だ。未経験45歳の再出発。
ボクはもともと、ソムリエとして10年、食の現場で働いてきた。将来、肉とワインのキッチンカーで競馬場を回る——そんな夢もあった。精肉の世界は、誤魔化しがきかない。切り方ひとつで味が変わり、扱い方ひとつで価値が変わる。自分の手で技術を積み重ねられる。だから、ボクはこの道を選んだ。
もう誰かと比べるのではなく、自分の手で、自分の人生を取り戻したい。詳しくは、なぜ精肉店を選んだのかも別の記事に書いている。
そのあと、45歳・未経験で精肉店に入った初日を迎えた——配送、包丁、元同僚との再会。それは別の記事に書いている。
まとめ
常務の1000万円の借金。会社への違和感。心がすり減り、事故を起こし、ボクはようやく気づいた。
「安定しているように見える今が、実は一番危ない」
40代の転職は怖い。でも、怖いまま動かない方が、もっと怖かった。
45歳、未経験。ボクはハンドルを包丁に持ち替え、精肉屋としてやり直す道を選んだ。これは、ボク自身の人生を取り戻すための記録だ。
※この記事は筆者自身の実体験をもとに書いています。内容は個人の記録であり、すべての方に当てはまるものではありません。


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