最近、のんびりと3,000円以下のワインを探しています。高級な一本を評価したいわけではなく、自分の舌で「これ、好きだな」と思えるものを、少しずつ知っていきたい、という気持ちに近いです。
いつかキッチンカーをやることになったら、「手軽に買えるけど、ちゃんと美味しいですよ」と言えるワインも、今のうちからストックしておきたい。そして、昔ソムリエとして10年、現場でワインを扱っていたボクが、久しぶりにグラスを傾けながら、眠っていた感覚をゆっくり取り戻している——そんな時間でもあります。今は精肉店の仕事が中心なので、ワインから離れて久しい。それでも、使わないと感覚は鈍っていく。だから、もう一度飲んでみている、という感じです。
今回開けたのは、SMOKING LOONのカベルネ・ソーヴィニヨン。
今回の印象|飲みやすいカベルネだった
カベルネ・ソーヴィニヨンは、銘柄によって渋みやえぐみが前面に出て、「今日はちょっとキツいかも」と感じることもあります。今回の一本は、そういう嫌な引っかかりがほとんどなく、タンニンは感じるのに口当たりはきつくない。グラスが空になるまで、なんとなくスーッと進むタイプでした。
カベルネなのに、とても飲みやすい——いちばん残ったのは、そのバランスです。「高級ワインをじっくり評価する」というより、気軽に一本。普段の食事の横にも、仕事が終わった夜の一杯にも、合いそうだな、と思いました。
SMOKING LOON CABERNET SAUVIGNON
カリフォルニアのカベルネ・ソーヴィニヨン。ラベルの水鳥も、なんだか好きなデザインです。今回はボトルを開けて、グラスに注いで、テーブルでゆっくり味わいました。

飲んでみた感想|香り、タンニン、生樽ワインとの違い
まず感じたのは、タンニンがキレイ、ということでした。グラスを近づけると、赤い果実っぽい香りがふわっと立つ。昔ならもっと細かく言葉にできたはずなのに、久しぶりすぎて「これ、何だっけ?」と頭をひねる。それでも、嫌なえぐみはなく、鼻先も口当たりもすっきり寄りでした。
口に含むと、タンニンはちゃんとある。それなのにきつくない。カベルネらしい骨格は感じるのに、最後まで飲みにくさが残らない。昔ならもっと細かく表現できたかもしれないけれど、久しぶりのグラスで最初に出てきた言葉は「飲みやすい」。そこから少しずつ、「タンニンがキレイだな」という感覚が戻ってきた、という流れでした。
比較の話を少し。ボクは以前、シャトレーゼの生樽ワインも飲んでいました。あちらと並べて思うと、今回の SMOKING LOON は、果実感があるのにスーッと飲める、という印象が強いです。生樽ワインは、アタック(口に入った最初のひと押し)がとてもスマートで、最初は軽やかに感じる。けれど、日が経つにつれて渋みが強調されていく——酸化の話なら当たり前なのかもしれませんが、ボトルを開けてから時間が経つほど、性格がはっきり変わっていく方でした。
一方、今回のカベルネは、非常に安定していて、最後の一杯まで「えぐくならない」感じがした。果実味とタンニンのバランスが、開けてすぐも、グラスを重ねたあとも、大きく崩れない。3,000円以下を「普段使い」で探しているボクにとっては、余裕を持って飲み切れる、というのもうれしかったです。瓶の半分を残して翌日に回す、というより、テーブルでゆっくり一本を楽しむ——そんな使い方に合っているのかな、と思いました。
★は5段階。プロの点数ではなく、久しぶりのグラスで感じたざっくりしたイメージです。
- 渋み★★★☆☆
- 酸味★★★☆☆
- 果実感★★★★☆
- 重さ★★★☆☆
- 飲みやすさ★★★★☆
精肉店で働く今のボクが思った「肉×ワイン」
※このワインで肉料理を実際に合わせて食べたわけではない。飲みながら浮かんだ想像です。
精肉店で働くようになってから、グラスを傾けていると、つい肉のことを考えてしまう。バラ肉3種を食べ比べした夜のことも思い出す。あのときはワインも一緒に開けたけれど、今回はワインだけを、もう一度ゆっくり味わう時間でした。
このくらい飲みやすいカベルネなら、脂身の少ない赤身——モモやハラミなど——をタレで焼いたものと、いつか合わせてみたくなった。まだ試していない。渋みが主張しすぎないから、肉のうま味も一緒に楽しめそうだ、と想像しただけです。
次の記事で、実際に肉と合わせてみるかもしれない。それも「3,000円以下のワイン探し」の、のんびりした続きのはずです。
ソムリエ10年。現場を離れると、感覚は鈍る
ソムリエとして10年現場にいたからといって、今も全部わかるわけではない。現場を離れ、何年もワインを日常的に飲んでいなければ、感覚は鈍る。忘れるのは、自然なことだと思っています。
それでも、こうやってグラスを傾けていると、少しずつ戻ってくる。「そういえば、こんなこと勉強したな」——意外と、心地いい時間です。
なんて考えながら飲んでいると、ああ、10年やった意味はゼロじゃなかったなと、ちょっとだけ思える(笑)。
3,000円以下で「これ美味しい」を探したい
高いワインを買えないから安いものを飲む、という話ではなく、3,000円以下という条件のなかで、ボクが本当に美味しいと思える一本を探したい。今回の SMOKING LOON は、その第1本目になった、というくらいの感じです。
まとめ
タンニンがキレイ。嫌なえぐみがなく、カベルネなのにとても飲みやすい——今回の SMOKING LOON の印象は、だいたいそこに集まります。シャトレーゼの生樽ワインと比べても、果実感がありながらスーッと進む、開けてからも性格が急に尖らない、というのも好印象でした。
45歳になって、昔やっていたことをもう一度やってみる。ワインを飲んで、言葉を思い出して、精肉店で働きながら肉との組み合わせも想像する。急がなくていい。それが、思ったより楽しい時間になっている気がします。
次は、別の3,000円以下のワインか、今回の一本を肉と合わせてみるか。のんびり、この「ワイン探し」を続けてみようと思います。
離れた経験も、いつか別の形でつながるかもしれない。ボクのこれまでと、今につながる話です。
※この記事は筆者自身のワインの試飲体験をもとに書いた記録です。生樽ワインとの比較も、その日のボクの印象です。肉との組み合わせは未検証の想像を含みます。味や合う料理の感じ方は個人差があります。価格は購入時期や店舗により異なります。


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